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シーテック・ジャパンの会場でソニーが展示している巨大な3Dテレビ=千葉市美浜区の幕張メッセで2010年10月5日午前10時35分、津村豊和撮影 |
デジタル家電の国際見本市「シーテックジャパン2010」が千葉市の幕張メッセで5日開幕し、映像が立体的に見える3D(三次元)技術をより進化させた 試作品や、電子書籍対応端末、IT(情報技術)で効率的に電力を使う次世代送電網「スマートグリッド」が関心を集めた。韓国勢や米アップルとの激しい競争 に直面する日本メーカーは付加価値の高い自社の技術をアピールした。ただ、今回は海外からの出展が減ったほか「目玉」も少なめで「インパクトに欠ける」と の指摘もあった。【弘田恭子、浜中慎哉】
◆ノートパソコンも
各社とも力を入れたのが3D技術。人気を集めたのは、東芝が12月に発売予定の裸眼で楽しめる家庭用としては世界初の3Dテレビ「グラスレス3Dレグ ザ」だ。会場を訪れた西田厚聰会長は「実用化は数年先と言われていた裸眼で見られる3Dテレビを発売する意義は大きい」といち早く製品化することにシェア 獲得の期待を込めた。シャープも眼鏡なしで3D画像が見られる液晶画面を参考出展した。
NTTドコモは、先端に磁石をつけた専用ペンで3Dモニターに触れると、画面上のカメレオンに触ったような感触を得られる新技術を公開。ソニーは来年春発売予定のフルハイビジョン3D映像対応のノートパソコンを公開した。
◆新聞雑誌を拡充図
年末から本格的な配信サービスが始まる電子書籍関連ブースも人気。NTTドコモはスマートフォン(多機能携帯電話)向けの電子書籍閲覧サービスを紹介。 韓国のサムスン電子製の新型端末「ギャラクシータブ」などで、村上龍さんの近未来小説「歌うクジラ」などが読めるデモ機には多くの人が集まった。
12月発売予定で、約30の新聞や雑誌などを閲覧できるシャープの携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」の展示にも人だかりができていた。片山 幹雄社長は「シェア拡大には魅力的なソフトをいち早く提供することが大事。まずは新聞や雑誌などの充実を図りたい」と語った。
◆エコカーと共に
環境意識の高まりから、今年は初めて「スマートグリッド」専門コーナーが設けられ、電気自動車(EV)をはじめ、省エネ関連の製品の展示も多くみられた。
真空機器メーカーのアルバックは専用コーナー開設に合わせて初出展し、25分で80%充電できるEV用の新型急速充電器などを展示した。担当者は「来場 者からの手応えもいい」と話した。この他にも、日産自動車が12月に発売する予定のEV「リーフ」や、日立製作所のインターネットを通じた遠隔操作でEV を充電するシステムなどが出展された。
◆海外勢は出展減
今年は前回を上回る616企業・団体が出展したものの、海外からは前年の22カ国・地域の263企業・団体から、15カ国・地域の196企業・団体に 25%も減った。「3D中心で今年は去年の延長。スマートグリッドもすごいなというのがない」(電機メーカー首脳)との声も聞かれた。